AV女優にインタビューをする仕事を、もう30年以上やっていますが、昔に比べて今の女優さんはずいぶんと変わってきたなと実感しています。
正直言って90年代までのAV女優さんで、望んでこの仕事をしていたという人は少なかったと思います。お金のため、芸能界へのステップのため、と考えていた人がほとんどで、出来れば少しでも早くAVの仕事は辞めたいと思っていたようでした。
しかし00年代に入ると、AV女優に憧れて、自分もAV女優になりたいと考える女性が増えてきました。インターネットやスマホの普及によって女性もAVを見ることが容易になったり、ＳＮＳなどでAV女優が親しみを感じる存在になってきたことが大きいのでしょう。
インタビューしていても、AVに興味を持っていたという女優さんばかりになってきたのです。彼女たちはAV業界に対してマイナスのイメージは持っておらず、むしろ憧れているようでした。

彼女たちがAVに対してプラスのイメージを持つようになったのは、やはりAV業界が変わったことが大きいでしょう。
以前のAV業界は、正直言って女優をだましたり、言いくるめたりして、好まないプレイまで行ってしまうこともあるなど、ブラックな部分もあったのですが、現在は業界の自主規制が進み、出演者が了解していないことは決してやらないというルールが徹底しています。
最近インタビューしていて、印象深いのが、ほとんどの女優さんが口を揃えて「少しでも長く活動したい」と言うのです。90年代までの女優さんが目的を果たしたらすぐにでも辞めたいと言っていたことを考えると時代の流れをつくづく感じます。
これも、女優さんにとって働きやすい環境になったからということが何よりも大きいのでしょう。そして女優さんたちの表情が、グッと明るくなっているというのも、私たちインタビュアーが感じていることでもあります。

若い女性たちにとって、AV女優が憧れの存在になっているというのは、長く業界に関わっている私たちにも、ちょっと信じられないことでした。
彼女たちにとっては、AV女優は可愛く、美しいルックスの選ばれた存在だというのです。実際には、目立っている女優さんが特にルックスに優れているということもあるのですが（笑）、確かにアイドルやタレントに負けないくらいにきれいなAV女優さんが増えたというのも事実です。あまりにも魅力的な女優さんが増えすぎて、AVライターでも覚えきれなくなっているくらいなのです。うれしい悲鳴ですが（笑）。
またTwitterやInstagramなどに流れてくる自撮り画像などを見て、AV女優だと知らずにファンになったという女性も多いようです。最近は男性よりも女性のフォロワーが多いという女優さんも珍しくなくなりましたし、イベントなどでも女性ファンの姿を見かけることが多くなりました。
なるほど、AV女優は男性にだけ支持されればいい、という時代ではなくなっているのです。

ファン層が女性にも広がっているというのは、AV女優の仕事の幅が広がっていることの影響も大きいのでしょう。
AV撮影に加えて、グラビアや写真集の撮影、Ｖシネマや成人映画への出演。このあたりまでは「脱ぐ仕事」ですが、それ以外にもショップなどでのサイン会、トークショーやラジオ・テレビ番組の出演、You Tubeなどネット番組の出演、雑誌やネットでのインタビューやコラム連載。そして実はＳＮＳでの発信も重要なお仕事だったりします。
先日、ある人気女優さんが取材の時に「AV女優なのに、服着てる仕事の方が多いですよ」と笑って言っていました。特にAVメーカー専属の単体女優の場合、撮影は月に一回が普通なので、それ以外はほとんどがヌードにならない仕事なわけです。
今は、AV女優も「AVも撮る女性タレント」と言った方が正しいのかもしれませんね。幅広いメディアで自分を発信することに興味がある女性にとっては、AV女優も選択肢のひとつになるでしょう。
AV女優という職業のあり方は、以前に比べて大きく変わっているのです。

以前に比べて、AV女優という存在のイメージも変わり、仕事の幅も大きく広がりました。単純に「AVに出演する女性」という枠では捉えられなくなっていると、ベテランAVライターの方も感じています。
自分自身で何かを発信したい、幅広い人にアピールしたい、そう考えている人には、AV女優という選択肢もあると言えそうです。